多くのレストランやカフェでは、ランチタイムが一番忙しい時間帯です。
このような時にティーポットで時間を計りながら紅茶を淹れるのは大変ですよね。
ですが、忙しい時でも、お客様に淹れたてのような美味しい紅茶を提供する簡単な方法があります。
実は、以前カフェに紅茶好きの友人たちを連れて行ったことがあります。
彼らは、新しく淹れた紅茶だと思って喜んでいましたが、実はそれは作り置きの紅茶だったんです。その事実を伝えると、皆驚いていました。
この方法は「3倍濃縮アイスティー」と呼ばれます。
通常より3倍多い茶葉を使って、濃いアイスティーを作り、常温で保存しておきます。
提供する時は、熱湯で3倍に薄めるだけで、紅茶は60〜70°Cが一番美味しい温度とされていますので、この方法でちょうど良い温度の紅茶が楽しめます。
濃縮アイスティーは濃いためにクリームダウン現象が起こり、少し濁っていますが、熱湯を注げばこの問題は解消されます。
熱湯で適切に薄めれば、淹れたてのような美味しい紅茶がすぐに楽しめるのです。
この3倍濃縮アイスティーは、ストレートティーだけでなく、美味しいミルクティーやアイスティーにも使える便利な方法です。
ミルクティーを作るときは、まず熱湯でティーを1.5倍に薄めてください。
温度が少し低い場合は、電子レンジで少し温めると良いでしょう。
その後、常温の普通の牛乳をたっぷり加えます。
通常、ミルクティーは濃い紅茶に牛乳を入れるので、1.5倍に薄めるのがちょうどいいです。
アイスティーを作る場合も同様に1.5倍に薄めた後、適量の氷を加えます。
氷を多く入れすぎるとクリームダウン現象が起こり、飲み物が濁るので気をつけましょう。
アイスティーには、ディンブラやアッサムのファーストフラッシュなどの茶葉がお勧めです。
紅茶のタンニンには抗菌作用
砂糖を加えなければ常温でも数日持ちますが、できれば翌日までに使い切ることをお勧めします。
リンアン流:アイスティーのおいしい淹れ方
夏といえば、アイスティーの季節ですね。
でも、紅茶が白く濁ってしまうことに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この濁り、いわゆるクリームダウンは、紅茶に含まれるカフェインとタンニンが低温で結合することによって起こります。
クリームダウンを防ぐには、カフェインとタンニンの量を減らすことがポイントです。
これを実現するには、茶葉の量を少なくし、代わりに長時間抽出することがコツです。
淹れ方
1.ポットの温め方:
まず、抽出用のポットを温めます。
ポットに沸騰した熱湯を入れ、ポットのフタが熱くなるくらいまで温めたら、熱湯を捨てます。
2.茶葉の投入と蒸らし:
茶葉をポットに入れ、再び沸騰した熱湯を注ぎます。
蒸らし時間は細かい茶葉で約15分、大きな茶葉では約20分が目安です。
3.サーバーへの注ぎ方:
準備したサーバーに氷を7~8分目まで入れ、蒸らした紅茶を茶漉しで漉しながらゆっくりとサーバーに注ぎます。
この時、サーバーにはまだ1リットルの紅茶が満たされていない状態です。
4.最終的な調整:
ポットに残った茶葉に少し熱湯を注ぎ、サーバーに移し替えます。
この作業を繰り返し、サーバーの中の紅茶が1リットルになるまで行います。
この時、氷はほぼ溶けてしまっています。
この方法で、夏の暑い日にぴったりのさわやかなアイスティーを
楽しむことができます。
アイスティーの楽しみ方とよくある質問
飲むときの準備:
グラスに氷を入れて、アイスティーを注ぎます。
よくかき混ぜてから冷えたら、お楽しみください。
Q&A
Q1: 長時間蒸らすと渋くなりませんか?
A1: たしかに長時間蒸らすと渋みが出ますが、そのためにわざと茶葉の量を少なくしています。茶葉の量を調整することで、じっくり蒸らしても美味しく飲めますよ。
Q2: アイスティーにおすすめの紅茶は何ですか?
A2: スリランカのディンブラをおすすめします。
透き通った真紅の色とコクのある味わいで、美味しいアイスティーが楽しめます。
Q3: ダージリンで濁らないなんて本当ですか?
A3: はい、当店でもよく驚かれますが、リンアン流では茶葉の量を控えめにしているので、カフェインとタンニンの量が少なく、クリームダウンが起こりにくいんです。
Q4: なぜ何度もすすぐのですか?
A4: ポットに残った茶葉にはまだ美味しい成分がたくさん含まれています。
その成分を最大限引き出してアイスティーの味を良くするため、サーバーに移す際にはポットをすすぐようにしています。
Q5: 抽出時間を忘れてしまった場合はどうなりますか?
A5: 大丈夫です。紅茶の成分の抽出は10分を超えると非常に遅くなりますので、少し時間が過ぎても味に大きな影響はありません。
だから、誰でも簡単に美味しいアイスティーを作れますよ。
紅茶とコーヒーの違い
紅茶とコーヒーは似たような飲み物としてよく比較されますが、実は両者には大きな違いが存在します。
その主な違いは、コーヒー豆が「種子」であるのに対し、紅茶は「葉」であることです。
種子と葉の違いで最も重要なのは、「種子には油脂が多く含まれている」という点です。
種子は、自分で根や芽、葉を出し、水分を吸収して光合成を始めるまでの期間、自己の蓄えた栄養を用いて成長します。
この栄養の大部分は油脂として蓄えられています。
このため、多くの食用油は種子から抽出されます。
例えば、菜種油、コーン油、ごま油、椿油などです。
オリーブオイルは例外で、これは実から搾られます。
紅茶とコーヒーの賞味期限における違い
油脂は酸化すると、過酸化物に変わりさらに分解して脂肪酸を生成します。
これははっきりとした「劣化」のサインです。
コーヒー豆は「種子」であり、多くの油脂を含むため、酸化が進みやすく賞味期限が短くなります。
例えば、焙煎後のコーヒー豆はおおよそ3ヶ月、挽いたコーヒー粉は7~10日とされています。ただし、真空包装され未開封の場合は1~2年持つこともあります。
一方、紅茶は「葉」を使用しており、油脂の含有量が非常に少ないため、酸化が進みにくいです。
日本紅茶協会によると、適切に光を遮断した包装の場合、製造後3年は持つとされています。
紅茶は「発酵茶」とも呼ばれますが、この「発酵」は微生物によるものではなく、葉のタンニン(カテキン類)が酸化重合して紅茶の色や香りを決めるテアフラビンやテアルビジンといった成分を作り出す化学反応です。
このため、紅茶の酸化は劣化ではなく、「熟成」として品質を高めることが多いのです。
このように、紅茶とコーヒーの賞味期限には大きな違いがあり、紅茶の方が長持ちする理由がここにあります。
紅茶とコーヒーの賞味期限と抽出方法に関する違い
一般的に、製品の賞味期限設定には、設定された期間の1.5倍の長さでの保存試験が行われます。
たとえば、製品の賞味期限が3年である場合、実際にはそれ以上に保存が可能かどうかのテストが行われています。
実際に、リンアンでは8年以上の長期保存試験を行い、問題がないことを確認しています。しかし、業界標準に従い、製品には製造後3年という賞味期限が表示されています。
このような長い賞味期限が設定できるのは、「多くの油脂を持っている」か「ほとんど油脂を持っていない」という大きな違いに由来します。
コーヒー豆には多量の油脂が含まれていますが、紅茶の葉はほとんど油脂を含んでいません。これが賞味期限だけでなく、抽出方法にも大きく影響しています。
紅茶は、ティーポットに茶葉を入れ、熱湯を注ぎ、時間をかけて抽出する方法を採用しています。
一方、コーヒーの一般的な抽出方法では、抽出液を下から引き抜く方法が多用されます。
これは、油脂分が比較的軽いため上部に残るという特性を利用しています。
コーヒー豆は抽出前には大量の油脂を含んでいますが、実際のコーヒーには油脂がほとんど残っていないのは、この抽出プロセスにより油脂が取り除かれるためです。
紅茶とコーヒーの根本的な違い
紅茶とコーヒーの違いは、原料が「葉」か「種」かという点です。
この違いが、賞味期限や抽出方法に大きく影響を与えています。
コーヒーはその「種」から様々な抽出方法が生まれ、機械による自動化も進んでいます。
これに対して、紅茶は葉を使うため、ティーポットを使用した単純で簡単な抽出方法で美味しく淹れることができます。
その結果、紅茶の抽出方法や機械の開発はあまり進んでいないかもしれません。
これからもっと多様な紅茶の淹れ方が発見されると良いですね。
それによって、紅茶の楽しみ方がさらに広がるかもしれません。